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​研究テーマ

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​*研究理念*

 社会心理学では、人の行動は、その人の属性とその人のいる環境との相互作用で生じると考えています。私はこの視点から、主に臨床心理学で扱ってきた精神的不適応を研究しています。すなわち、精神的不適応の発生には、その人の属性だけでなく、その人を取り巻く環境も関与しているはずで、その相互作用のあり方を明らかにすることが、精神的不適応の理解と介入につながると考えています。今まで取り組んできた主な研究テーマは以下の7つです。現在は、「7:新しいタイプの抑うつについての研究」に特に力を入れて取り組んでいます。

​*研究内容の詳細*

1.抑うつの基礎研究

2.抑うつの発症メカニズムの検討

3.大学生のメンタルヘルス向上に向けた実践研究

4.地域における自殺予防に向けた研究

5.自殺報道についての研究

6.精神疾患に対する偏見や援助要請に関する研究

7.新しいタイプの抑うつについての研究

8.その他

1.抑うつの基礎研究

 私が一貫して扱ってきたのは、主にうつ病の診断基準に達しない抑うつ(閾値下抑うつ subthreshold depression)です。では、閾値下抑うつとうつ病はどう異なるのでしょうか。閾値下抑うつを研究することにはどんな意義があるのでしょうか。研究のために抑うつを質問紙で測る際に気をつけることはなんだろうか。このような疑問点について研究しています。
→主な業績は、書籍単著の3;共編著3の執筆担当章(1章);論文(第一著書)の4  , 7, 8, 13;論文(第二著者以降)の50,55,59,64,66,75など
→連携・協働した研究者の方々:北村俊則先生、奥村泰之先生

 

2:抑うつの発症や持続メカニズムの検討

 自己意識をはじめ、抑うつの発症や持続を説明するモデルは多数提出されています。私は大学院在学の時からとりくみ、共同研究者とともに国内外で数多くの論文を発表してきました。研究の対象はほとんどが閾値下抑うつです。
→主な業績は、書籍単著の1,2,3;論文(第一著書)の1,2,14,16,18,19,20,21,26;論文(第二著者以降)の2,3,4,16,17,27,34,62,67,68,70,71,73,79,83,84,85など
→連携・協働した研究者の方々:丹野義彦先生、杉山崇先生、

森脇愛子先生、勝谷紀子先生、高野慶輔先生

 

3:大学生のメンタルヘルスを目指した教育実践研究

 社会心理学などの心理学の基礎的研究の成果は、精神的不適応を理解するのに役立つことが指摘されています。そこで、心理学の授業において、メンタルヘルスを心理学の枠組みから理解し、自分でメンタルヘルスを高めていくための教育実践研究を行っています。2001年に大妻女子大学勤務していた際に、同僚の西河正行先生と始めたのがきっかけです。
→主な業績は、書籍(共編著)の8;論文(第一著書)の24;論文(第二著者以降)の43,47,53,61,77,79,81,82,85,91
→連携・協働した研究者の方々:西河正行先生、及川恵先生、亀山晶子先生

 

4:地域における自殺対策の実践と研究

 1998年には前年度より自殺死亡者数が8000人あまり増加し社会問題となりました。私は、大野裕 慶應義塾大学教授(当時)の研究班の一員として、1999年度後半より青森県名川町(現:南部町)で自殺対策事業を始めました。現在、自殺者数は減少していますが、引き続き、町の自殺対策に協力しています。
→主な業績は、書籍単著の3;論文(第一著書)の25,36,41,43;論文(第二著者以降)の22,24,25,28,33,36,46,63
→連携・協働した研究者の方々:大野裕先生、大山博史先生、藤澤大介先生、大塚耕太郎先生、

瀧澤透先生、瀧澤志穂先生


5:自殺報道や素人理論についての研究

 一般の人の受け止めを調べることも、精神的な不適応を社会の面から考える際に重要だと考えています。自殺報道は2004年度から厚生労働科研の研究班に加わったことがきっかけです。自殺報道の実態調査につづき、心理学研究の手法を用いて問題のある報道の仕方について実証的に検討しました。素人理論では、うつ病や新型うつについての人々の認識について調べています。
→主な業績は、書籍単著の3;論文(第一著書)の30,34,38,39;論文(第二著者以降)の65,69
→連携・協働した研究者の方々:影山隆之先生、田中江里子先生、勝谷紀子先生

 

6:精神疾患に対する偏見や援助要請に関する研究

 メンタルヘルスを高めるために、社会的な視点から求められることはたくさんあります。その一つが、精神疾患に対する偏見を低減し、援助要請行動を促進させることでしょう。国立精神・神経センター精神保健研究所勤務時に主にとり組んだテーマですが、以降も指導教員や連携研究者の立場でこのテーマに関わっています。
→主な業績は、書籍単著の3;論文(第一著書)の5,6,10;論文(第二著者以降)の7,11,12,14,15,29,30,35,40,41,49,97
→連携・協働した研究者の方々:北村俊則先生、下津咲絵先生、樫原潤先生


7:新しいタイプの抑うつについての研究

 世間的には「新型うつ」と呼ばれている、新しいタイプの抑うつに関する研究を2012年度から始めています。卒論研究以来、抑うつを扱ってきましたが、近年注目を浴びている「抑うつ」は、私が研究してきたものとは異なった特徴をもちます。そこで、新しいタイプの抑うつの正体を突き止めるために、実証的な研究をスタートさせました。
→主な業績は、論文(第一著書)の42,44,45;論文(第二著者以降)の87,89,90,93,95
→連携・協働した研究者の方々:加藤隆弘先生

 

8:その他

 臨床心理学や社会心理学の専門家と協働して、社会心理学などの基礎心理学領域と臨床心理学のインターフェイスのあり方について、議論や検討を重ねてきました。
→主な業績は、書籍(共編著)の1,2,3,4,5,7,9;論文(第一著書)の27など
→連携・協働した研究者の方々:伊藤絵美先生、杉山崇先生、丹野義彦先生、坂野雄二先生、前田泰宏先生、佐藤健二先生、佐々木淳先生、松浦隆信先生、安藤清志先生、岡隆先生

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